確証のない約束は介護職へのクレームになる

少しでも健康で一日でも長く安心、安全に過ごしてもらい、幸せを感じてもらえるように介護職が多職種と連携してケアにあたるのは当然のことである。
しかし、それを確約することがクレームにつながることもある。
利用者の家族は、一日でも長く生きてもらいたいと思って当然だ、十分生きただろうと言ってもいいのは、本人と家族だけである。
介護職がそれを口にするのは、愚の骨頂ともとらえられることもあるからだ。

たとえば、せっかく96歳まで生きたのだから100歳まで生かせてくださいねと家族が冗談交じりに介護職に言ったとする。
そして、その利用者が98歳で亡くなった時、家族は100歳まで生きると思っていたんですがと半分本気のようなことも言うこともある。
もちろん、最初から、必ず100歳まで生きられるようにしますと発言したり、必ず幸せな生活ができるようにします等と確約する発言はしていないにしても、そのように家族が発言することもあるのだ。

仮に100歳まで生きられるように頑張りますと発言したり、必ず不安が一つもない幸せな生活を送れるようにしますと声高らかに確約してしまうと、一つでも何かできなかったとき、クレームにつながる可能性がでてくるので注意が必要だ。
施設の考える利用者の幸せと、家族の考える利用者の幸せに差が生まれるのは当然だが、宣言してしまうとその差がクレームにつながってしまう。
できるように努力することは必要だが、できるかどうかわからないことを、利用者やその家族に良く思われたいがために、安易にできるといえば、それは不信感につながることもあるということを理解しておく必要がある。