クレームを招かないための介護職の姿勢

介護職の大きな役割は利用者の日常生活をサポートし、最終的には自立した生活を過ごせるようにすることである。
この役割を果たすためには、様々な介護の知識やスキルが必要だが、最も大切なのは利用者への共感に基づいた、信頼関係の構築である。
この共感という部分を疎かにすると、介護サービスの質が落ちて、たちまち利用者や家族からクレームをもらう結果を招いてしまうのが現状だ。
介護職などの人と接する仕事の大変な部分ですので、しっかりと対策をしなければならない。

ただしこの場合の「共感」とは、利用者に対して上からの目線である、「同情」や「同感」といった意味ではない。
あくまでも相手の目線に立って気持ちを理解し、同時に利用者も満足できるような、相互関係の働きかけを指す言葉である。
このように対等な関係によって自立を目指す以上、介護職に携わる者は、普段から利用者をよく観察して、ニーズに耳を傾け、一つひとつ意思の確認を求める姿勢が重要になる。

例えば、食欲不振に見える利用者がいるケースでは、味が好みに合わないのか、どこか身体に異常があるのか、あるいは別の理由があるのか等、観察やヒアリングを通じて判断し、利用者の食欲を取り戻すように工夫することが大切である。
この点、利用者の好みに応じることが、必ずしも「共感」になるとは限らない場合もある。
食事制限の指導を受けている利用者の利用者のケースで、言われるままに好きな食べ物を与え続けることは、かえって利用者の健康を損ない、自立した生活から遠ざけてしまうことは、容易に想像できるはずだ。
「共感」とは利用者と介護職との相互の働きかけであること思い出し、医師などと相談した上で、適切に対応することが必要である。